Acer Chromebook C720 を 5 ヶ月使っての感想
そろそろ「もう日本上陸しないんじゃないか？」と思えてきた Chromebook ですが、それはさておき、Acer C720 Chromebook を個人輸入して約 5 ヶ月が経ちました。5 ヶ月間ほぼ毎日使ってきて、現時点での感想を書いてみます。
購入当初（2014 年 1 月）の感想
以前の感想をまとめると：
- 良いところ
- 起動が速くてサクサク動く
- バッテリーのもちがいい
- 安い
- 日本語に対応している
- （長所と言うべきか微妙ですが）なぜか技適は通過しているので、日本国内で使用しても違法にならない
- 悪いところ
ちなみに、私は Chrome および Chromebook のライトユーザーです。外へは持って行かず、主な用途はウェブ閲覧のみ。ガシガシ使う人はまた別の感想になると思います。
5 ヶ月後の感想は変わらず「安価なわりにはいいマシン」
さて、「5 ヶ月使っての感想を書きます！」と言っておいてなんですが、基本的な印象は購入当初とほとんど変わっていません。シンプルかつ高速で、安いわりにはよく働くいいマシン（※ウェブ閲覧に関しては）。
逆に、印象が変わった部分は、わかってはいたけどディスプレイはやっぱり低品質だなあということ、静かな部屋ではファンの音が気になるようになったことですね。
以下、詳しく書いていきます。
まず初めに：5 ヶ月間、トラブルはなし
例えば OS が強制終了するとか、表示がおかしくなったとか、ハードウェアに不具合が起きたとか、そういうトラブルは今のところ経験していません。
良いところ：高速、シンプル、安価
高速：買ってから何度か Chrome OS のバージョンアップを経ましたが、ネット閲覧は相変わらずサクサクです。普通のサイトはもちろん、画像多めのサイト、Twitter、YouTube……通常のブラウジングでもたつきが気になったことはありません。
ただ、私は必要最低限の拡張機能＆アプリで運用していて、タブもせいぜい 10 未満しか開かないので、ヘビーユーズだとどうなるかはわかりません。
シンプル：Windows を使っているとイライラさせられること……不要なプリインストールソフト、バックグラウンドで動くよくわからないプログラム、そして延々と続く更新プログラムのインストールインストールインストール……。
Chrome OS だとこれらの苛立ちから開放されます。Chrome ブラウザ＝OS という割り切りゆえ、他メジャー OS のようなカスタマイズ性はない代わりに、トラブルと無縁で安定しているという印象です。Chrome OS 自体の更新も数分とかかりません。ただし、この長所を裏返すと自由度が低いという短所になるのですが。
ついでに書くと、スリープ時の消費電力も優秀です。正確に計ったわけではありませんが、 1 時間に 1％ 消費していない気がします。
安価：上記のメリットを備えて、C720 はたった 199 ドル。「ネットだけ見られればいい、高性能高機能高価格じゃなくていい」という人にはぴったりの一台です。
でももちろん良いことばかりではありません。お次は短所です。
悪いところ：ディスプレイ、ファン、自由度の低さ
前者二つは C720 の欠点、最後の一つは Chrome OS の欠点です。
ディスプレイ：これはもう各所のレビューでさんざん書かれていることで、私自身わかっていて買ったし文句を言うつもりもないのですが、ディスプレイの質は低い！ です、本当に。人によっては我慢できないでしょう。
椅子に腰かけて動画を見る時など、視野角が狭いのでディスプレイの角度を調整するのに手間取ります。見栄えについては、輝度を上げれば多少はマシになるかな。私は眩しいのが嫌なので低輝度で運用してます。
ファン：初めに書いておくと、周りで音がする環境ならほとんど聞こえないレベルです。静かな環境で使っていると気になるかな、という程度です。
購入当初の感想では「低負荷時の音量はほぼゼロ」と書いたのですが、最近では負荷をかけなくてもファンが回り出し、夜間の自室では耳につくようになりました。ファン音は「フィーーーン……」という低めの回転音が続く感じ。
たぶん、原因はソフト面（負荷の増大）やハード面（ファンに埃が溜まった）ではなく、環境面です。つまり、1〜2 月の購入当初にファンが静かだったのは、単に室温が低かったから回らなかっただけなんじゃないかという(´・ω・`) 私の部屋には暖房がないので……。
ノート PC のファンとしては静音な部類に入ると思います。それでもあえて欠点として挙げたのは、新世代の Chromebook にはファンレス機の選択肢も増えてきたから（例：ASUS C200、Samsung Chromebook 2）。また、立ち位置的にライバルとなりうるタブレットがファンレス＝完全無音だからです。
なお、以前充電しながらニコニコ動画で電王戦を鑑賞した際には、ファンが見たことのない勢いで回っていました。充電しながら使用するのはダメですね、やっぱり。
自由度の低さ：Chromebook に搭載の Chrome OS が Chrome ブラウザにできることしかできない OS であることについては、私の以前の感想や公式のヘルプ（日本語）を参照してください。簡単に言うと、Chrome ブラウザ用の拡張機能やアプリはインストールできるが、それ以外のソフトウェアやドライバは一切インストール不可ってことです。もしかしたら勘違いしている方がいるかもしれませんが、Android 用のアプリもダメです。
で、実際使っていて不便を感じた……というか、「こんな時、普通のパソコンだったらな」と思った場面としては、「無線非対応のプリンタに繋ぎたくなった」「LINE を入れたくなった」「Eye-Fi のソフトでデジカメと連携したくなった」等々。まあ地味ですが、こういう細々したことが Chrome OS では不可能です。
画像/音楽/動画編集など、アウトプット面も弱いかも（今後アプリの充実で解消する可能性はありますが）。しかし、自由度が低いからこそシンプルでわかりやすく、高速・安定なわけで、ここは使う側の割り切りが大事ですね。
5 ヶ月間使ってのまとめ
C720 について：ネットを見るだけなら十分。自分は満足している。
ただし、Chromebook の選択肢が増えてきた今では、価格以外の優位性はなくなりつつある。
Chrmebook について：扱いやすくて好印象。
しかし、やりたいことがたくさんあるなら別 OS の機種を選んだ方がよい。
5 ヶ月間使い続けてのまとめとしては、こんな感じです。
C720 はディスプレイが上質とは言いがたいものの、概ねよくできた機種です。しかし、最近では ASUS C200（249 ドル）や Samsung Chromebook 2（319 ドル）など、スペックで C720 に優る機種が続々と発売されています。今後はだんだんと C720 の強みは価格（199 ドル）だけになっていくのではないでしょうか。200 ドル以下だから魅力的なんだとも言えるかもしれませんが。（ところで ASUS の C200 は良さそうなので日本上陸を期待してます）
結局 Chromebook は「買い」なのか？
5 ヶ月間毎日使っても、Chromebook への好印象が揺らぐことはありませんでした。
しかし、「では日本人が個人輸入してまで Chromebook を買うべきなのか？」といえば、私自身は Chromebook を非常に気に入っていますが、答えはノーかな、と思います。
理由は単純に価格です。格安 199 ドルの C720 でさえ、輸入代行業者を通すと恐らく総額 250～300 ドルかかってしまいます。200 ドル、300 ドル台の機種だと日本円で 3～4 万円になるでしょう。それだけ予算があったら、タブレットを選ぶか貯金して別のノート PC を買った方が後悔しないはずです。
2 万円でこれだけサクサク動くのか！ という点では本当に優秀なんですよ、C720。Chrome OS も実際触ると想像以上に快適なんです。でも、使いやすいとはいえ Chrome OS は Windows や Mac とは別物。Chrome 専用端末に 2 万、3 万円くらいなら出してもいいかもしれないけれど、予算が 4 万円あるならこだわる必要はないでしょう。
それでも Chromebook（C720）をオススメできる相手がいるとしたら、私の考えではこんな人です。「とにかく速くネットできるノートが欲しい。タブレットは嫌。ブラウザ以外のソフトはいらない。そして、 3 万円以上は絶対に出せない。」
Chromebook は素晴らしい。でもそれは安いから。十分な予算があるなら別の機種でいい。
というのが、私が Chromebook C720 を 5 ヶ月間使っての結論です。
