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Acer C720 Chromebook を買ってみた感想

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持ち運びやすくて起動の速いノート PC が欲しい! が、SSD 搭載ノートを買う予算はなかったため、安価なChromebook を買ってみました。海外で評価の高い Acer C720 です。おもちゃとしてではなく、しっかり活躍してもらうつもりで入手しました。購入方法は代行サービスを使っての個人輸入です。

大事な点なので最初に書いておきますが、C720 には技適マークがついています。※技適マークのない機器で無線通信を行うと電波法違反になる恐れがあるそうです。(恥ずかしながら最近まで知りませんでした)

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(赤丸の部分)

をぢの日記 » Acer C720P Chromebook 開封の儀にある通り、AC アダプターには PSE マークも。C720P は C720 のタッチパネル版です。

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(小さいですが赤丸の部分にあります)

どうやら C720 系の機種は技適・PSE ともにクリアしているようです。

C720 を買った理由

家の中で持ち運べるサブ PC を探していました。

用途

音楽・動画鑑賞はもともと考えていませんでした。

要求スペック

  • とにかく素早く起動する
  • そこそこバッテリーが持つ
  • 10 インチ前後のディスプレイ
  • ネットさえ快適に見られればいい=高性能・多機能は不要
  • 〜3 万円台

市販の SSD 搭載ノートはどう転んでも 5 万円以上するので、SSD 搭載で安価・なおかつウェブ特化を謳う Chromebook に目をつけました。

C720 の良い点・悪い点

良い点

  • 安い
  • 起動が高速
  • 動作もサクサク
  • 軽い、薄い、静か
  • バッテリーの持ちがいい
  • SD カードスロットや HDMI ポートがある

悪い点

  • ハードウェアの質感は値段なり
  • 特にディスプレイは低品質
  • 3G や LTE には非対応
  • メモリ・SSD・バッテリーの交換がサポートされていない
    • メモリは基板にハンダ付けされているため完全に交換・増設不可能です。
    • SSD とバッテリーは取り外し可能ですが、本体の裏蓋を開けた時点で保証対象外となります。

どちらとも言えない点

良い悪いというよりは、Chromebook=Chrome OS 自体の特徴である点です。

まず大前提として、Chromebook はウェブブラウザの Chrome しか 使えない PC です。ただし Chrome では多種多様なアプリが利用できるため、機能は限定的ながら OS として成り立つのです。

Chrome OS は以下のような特徴を持っています。

  • ユーザーデータは Google アカウントに紐付けされる
  • オンライン環境での使用を前提としている
  • データは基本的クラウドに保管する
    • Google ドライブが内蔵ストレージの代わりとなります。連携はスムーズです。
  • WindowsMac で使えるソフトがインストールできない
  • (上記に関連して)専用ドライバのインストールを必要とする外付けデバイスが使用できない
    • 一般的なマウスやキーボードは大丈夫です。Logicool の無線マウスは OK でした。
    • ダメ元で FOSTEX PC100USB を接続してみたらあっさり使えました。USB DAC もドライバ不要ならいける?
  • 追加したい機能があれば Chrome ウェブストアからアプリ・拡張機能をインストールする
  • Chrome OS のバージョンは自動的に更新される

C720 主要スペック

  • OS:Chrome OS
  • CPU:Intel Celeron 2955U 1.4GHz (Haswell)
  • RAM:2GB
  • 内蔵ストレージ:16GB SSD
  • ディスプレイ:アンチグレア 11.6 インチ(1366×768)
  • 外部ポート:USB3.0×1、USB2.0×1、HDMI、SD カードスロット
  • バッテリー持続時間:公称 8.5 時間
  • 重量:約 1.3kg

内部写真は Acer C720 Chromebook - The Chromium Projects で見られます。

しばらく使ってみた感想

起動が速い!

Chrome OS の一番の売りはここです。シンプルゆえの圧倒的な起動速度。

これは本当に感動的で、スリープ復帰&WiFi の電波取得はまさに一瞬です。ノートを開いた次の瞬間にはブラウザが使用可能な状態になっています。スマホタブレットと同じ感覚と言えばわかってもらえるでしょうか。

スリープだけでなく、電源オフ→オン時の起動も十秒とかかりません。

動作も快適

私の場合、主な用途はブラウジングとなりますが、ウェブページの表示はスムーズです。画像が多いサイトでももたつきませんし、Google マップYouTube もスルスル動きます。重いページでスクロールがカクつくようなこともなし。少なくともブラウジングについては、メイン PC(Win7SSDIvy Bridge)に引けを取りません。

ただ、タブを 10 個も 20 個も開いたり、サイズの大きなファイルを扱ったりするような場面でどうかはわかりません。海外のレビューでは「重い作業をするならメモリ 4GB 版の方がいい」という意見も見られました。ただし 2014 年 1 月現在、C720 の 4GB 版は注文不可です(生産終了か一時的なものかは不明)。

とりあえず、負荷のかからない作業だったら 2GB 版でも引っかかりなく動きます。なお Amazon.com では C720P の 4GB 版の取り扱いをスタートするようです。

Chromebook の購入を検討している人に一つ言いたいこと

それは、全ての Chromebook がサクサク動くわけじゃありませんよ! ということです。C720 の軽快さは Intel の Haswell Celeron に負うところが大きく、Exynos 5 Dual(Exynos 5250 1.7GHz)を積んだ Samsung の Chromebook(XE303C12) ではこうサクサク動きません。

なぜ断言できるかというと、以前 XE303C12 を持っていたからです(´・ω・`) 起動速度は C720 と変わりなく感動的だったのですが、実際の動作感、ページの表示速度は月とスッポンでした。マウスジェスチャは一拍遅れて動作し、ちょっと画像の多いページだと読み込みがもたつくような調子です。C720 を買った時には「同じ OS、同じメモリ(2GB)でも CPU のパワーでこんなに差が出るのか」と痛感しました。

XE303C12 と同じ CPU の HP Chromebook 11 は触ってないのでなんとも言えません。デザイン性やハードウェア、とりわけ液晶は C720 より間違いなく上でしょう。C720 の液晶はお世辞にも素晴らしいとは言えないので……。海外の比較記事をさらーっと読むと、両機とも一長一短あるとした上で「何よりも性能を重視するなら C720、そうでないなら HP Chromebook 11」みたいな結論になっているようです。あとは単純に C720 の方が安いですね。

小型軽量、かつ静音

片手でひょいっと持ち上げられる大きさ&重さです。11.6 インチの画面もネットには十分。

C720 はファンを搭載していますが、低負荷時の音量はほぼゼロです。発熱も低く、数時間ネットして底面がぬるくなる程度で、キーボードやパームレストはほとんど熱を帯びません。高負荷時についてはまだ高負荷時を経験していないのでわかりません。

バッテリーの持ちも良好

ちゃんと確かめてないので公称の 8.5 時間持つかは謎ですが、長持ちなのは確かです。一度充電してしまえば丸一日使えます。低めに見積もっても最低 5〜6 時間はいけるでしょう。充電にかかる時間は 2 時間ほどです。

余談ですが上述の USB DAC を繋いでいる間はさすがにモリモリ電池が減っていきました。

ディスプレイの品質は値段なり

C720 の数少ない欠点の一つはディスプレイです。視野角は狭く、色味も微妙。幸い変に青みがかっていたり黄色味がかっていたりはしません。このディスプレイで褒められるのは「最悪ではない」ってところでしょうか。まあ、実用性の面では問題ありません。なんせお値段 199 ドルですから多くを期待しては酷でしょう。

ちなみに日本語フォントは初めから入っており、なかなか見やすいです。

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明朝体もばっちり。

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キーボードはまあまあ

キーボードは US 配列をベースに、一部キーが Chromebook 仕様となっています(「戻る/進む」キーや「更新」キーがある)。キーストロークは浅めで、慣れるまでちょっと打ちづらく感じました。打ち心地は可もなく不可もなくです。

入力方法は以下の三つから選べます。

  • 日本語のキーボード
  • Google 日本語入力(US キーボード用)
  • Google 日本語入力(日本語キーボード用)

二種類の日本語キーボードが用意されているものの、ハードは US 配列のため、日本語キーボードを選ぶとキーの印字と実際の入力に食い違いが生じるそうです。それはイヤなので「Google 日本語入力(US キーボード用)」にしています。US キーボードは初めてですが意外と違和感なく扱えます。Enter キーが小さいのだけはまだ慣れないかな。

日本語入力への切り替えは AltShift もしくは CtrlSpace です。また、「設定 > デバイス > キーボードの設定」から Ctrl と Alt の位置を入れ替えたりもできます。

Chrome OS の恐るべき快適さ

高速起動などとは別に、今回 C720 を購入して驚いたことがあります。上でも書いたように以前は別の Chromebook を持っていたのですが、C720 の初回起動後 Google アカウントでログインしたら、旧 Chromebook の設定が即座に引き継がれたのです。ブックマークやインストール済みのアプリ・拡張機能はもちろん、シェルフ(Windows におけるタスクバー)に登録していたアプリやキーバインドの設定も自動で適用されました。残念ながら各拡張機能の設定は引き継がれませんでしたが。(ここはたしか PC 版の Chrome も同じだったはず)

まあ、考えてみたらブラウザの Chrome に同期機能があるのだから、驚くほどの話ではなかったのですが……OS 自体がブラウザのように自動同期する便利さは予想以上でした。

一度セットアップすれば設定がオンラインに保存され、バックアップも面倒な移行作業も飛ばしてくれる Chromebook。この快適さは慣れてしまうとヤバイな〜と思いました。ほんと、ネットだけなら最強です。(ただし、Google への依存度が高すぎるから、どんなに素晴らしくともメイン PC にはできないなという感想も抱いてます)

なお、Chromebook の初期化には復元メディアを用いた復元と、OS のみで実行できる Powerwash というリセット方法の二通りがあります。以前の Chromebook では初回起動でつまづき同期エラーになってしまったのですが、Powerwash を実行して問題解決しました。

まとめ

C720(C720P)は現在購入できる Chromebook の中ではかなりオススメです。しかしそもそも Chromebook がオススメかというと……?

私自身は C720 を気に入っています。Haswell Celeron の性能は文句なし。ハードウェアの品質も最高ではありませんが、実用レベルです。当初探していた「ネットができて、起動が速くて、そして安いサブノート」としては大満足です。個人輸入代行サービスを利用したため 199 ドルが 3 万円になりましたが、3 万円払って惜しくなかったと思っています。Windows ノートならどんなに安くても 3 万円以上しますしね。

が、では万人に薦められるかというと、そうでもありません。C720 は優れた Chromebook ですが、そもそも Chromebook 自体がオススメしづらいのです。ここまで読んで「ネット見るだけならタブレットでいいんじゃないの?」とか、「3 万も 4 万も出すなら Windows ノートにしたいな」と思った人は、その通りです。現時点では Chromebook の一番のメリットは値段と起動速度であり、予算が十分にあるならわざわざ選択肢に入れる必要はないと思います。さらには個人輸入もリスクとなりますね。

正直なところ、もし予算か時間のどちらかに余裕があるならば、C720 の国内販売を待つか、もっと進化した Chromebook が出るのを待つか、あるいは全く別のノートを買うかするのを薦めます。

しかしいつでも予算と時間があるわけじゃないのも現実。なんだかんだ言って、ウェブ限定なら C720 は 199 ドルとは思えないほど立派に働きます。「PC を立ち上げてもブラウザしか使わない」「ネットしかしない端末に 5 万も 10 万も出せない」「格安サブノートが今欲しい」って人は、検討してみる価値があるんじゃないでしょうか。

私について言えば、これからはデスクトップの稼働率がぐっと下がりそうです(´∀`;)

おまけ:当記事も全て C720 で書きました

お世話になったアプリ&拡張機能